ロベール・クートラスは、亡くなるまでのおよそ17年間、カルト(carte)というカード画の制作に没頭しました。縦12cm×横6cm程に切り抜いたボール紙に、油絵具で、人の顔をした蝶やうさぎ、足の間から顔を覗かせてこちらを見ている人、暗号のような文字など、彼の心の中にある物語を毎夜描き、それらを「Mes Nuits(僕の夜)」と呼んでいました。同時期に、ポスターの裏に描いたグァッシュ画や、板に描いた油彩画、だるまストーブで焼いた小さなテラコッタの制作にも取り組んでいます。 クートラスの友人であった画家・ヤンケルが、クートラスについてこう語っています。「クートラスはロマネスク時代の存在なんだよ。彼は12世紀に生きればよかった。今の時代はこうした孤独な夢想者、天才的な職人そして心底からの詩人なんか見向きもしない。われわれの時代は、詩人たちを必要としていない」 けれども、きっと今もわずかに存在している、クートラスと同じく“アナーキーで哲学的で、内気で孤独な冒険者たち”のために、「Gallery SU」ではクートラスの作品世界を発信してまいります。
Robert Coutelas